Vol.1-Vol.20

院外報VOl.18

クモ膜下出血を予防しましょう

どんな障害なの?
クモ膜下出血は、脳卒中の一種ですが、多くは何の前触れもなく突然発症し、強い脳障害や死に至ることの多いとても危険な病気です。発症から1カ月以内に約30%の方が死亡するといわれています。近年の医学の進歩により、クモ膜下出血が予防できるようになってきました。今回は、クモ膜下出血について解説し、どうすれば予防できるかを紹介します。

クモ膜下出血はどんな病気?
脳の表面は薄い透明な膜“クモ膜”でおおわれています。クモ膜と脳との間には少し“すき間”があいており、これを“クモ膜下腔”と言います。クモ膜下腔は、通常は水のように透明な液体(脳脊髄液)で満たされており、脳を養う大切な血管や脳神経が走行しています。何らかの原因でこの“すき間”に出血を起こしたものが“クモ膜下出血”です。クモ膜下出血は様々な脳の血管の異常で発生しますが、その最も多い原因が“脳動脈瘤の破裂”です。

クモ膜下出血の診断
正常のCTでは黒く写っている脳脊髄液の部分が、クモ膜下出血を来すと(右写真)、矢印のように血液が白い「かげ」として写ります。

クモ膜下出血は、どのくらい発生するの?
クモ膜下出血は1万人あたり年間およそ2人の割合で発生しています。岩見沢市の人口を約8万人とすると、年間16人程のクモ膜下出血が発生していることになります。高血圧、過度の喫煙・飲酒、動脈硬化などが危険因子です。女性に多い傾向があり、男性の約2倍の発生率です。また、家族性に発生する傾向もあり、脳動脈瘤の破裂した方の近親者(2親等以内)では、約10%の方に脳動脈瘤が発見されたとの報告もあります。

脳動脈瘤が破裂したらどうなるの?
(典型的症状)クモ膜下出血の頭痛は典型的で「経験のしたことがないような突然の激しい頭痛」です。そのまま意識をなくすこともあります。稀ですが、軽度の頭痛で発症することもあるので注意が必要です。
(警告症状)本格的な出血の前に少量だけ出血して比較的軽い症状を来すことがあります。頭痛、むかつき、意識消失、めまいなどです。時に物がだぶって見える、瞼が垂れ下がり目が開かなくなるなど眼の症状で発症することもあります。これらは「警告症状」として、注意しなければいけません。

脳動脈瘤破裂とは?
脳を養う主要な動脈(脳主幹動脈)は、クモ膜下腔を走っています。この動脈は、一部が風船状にふくらんで“こぶ(瘤)”のようになることがあります。これを“脳動脈瘤”と呼びます。“動脈瘤”は内部の血圧によって徐々にふくらみ、壁が薄くなって突然破裂します。これが“脳動脈瘤破裂”です。破裂による出血は“クモ膜下腔”に広がり“クモ膜下出血”となります。
脳動脈瘤の診断
左図は、様々な検査方法で診断された脳動脈瘤です。脳動脈瘤は頭蓋内のあらゆるところに発生しますが、できやすい部位(好発部位)があり多くは血管の分岐部に発生します。代表的な動脈瘤を図に示しています。
図1は内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤、図2は中大脳動脈瘤、図3は前交通動脈瘤と脳底動脈上小脳動脈分岐部動脈瘤です。
これらの検査方法のなかで「MRA」が最も非浸襲的な(受診者に害のない、体に負担をかけない)検査です。この検査のおかげで「健康な方でも」「安全に」脳動脈瘤を発見できるようになりました。
脳血管撮影
M R A
C T A

クモ膜下出血にならないためにはどうしたらいいの?
現在の医学レベルでも、脳動脈瘤が破裂する前に見つけるしか方法はありません。このような、破裂していない脳動脈瘤を“未破裂脳動脈瘤”と呼んでいます。特に(1)高血圧や糖尿病などをお持ちの方(2)クモ膜下出血を発症した近親者をお持ちの(3)過度の喫煙・飲酒歴のある方、は注意が必要です。
MRA検査は外来で簡単に実施する事ができます。心配な方は、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。

脳動脈瘤の治療はどうするの?
脳動脈瘤の治療には、「開頭手術」で専用のクリップを用いて脳動脈瘤の根元を挟んでしまう方法(クリッピング術)と、開頭せずに「血管内手術」で動脈瘤の内部にコイルをつめて、内部を閉塞してしまう「コイル塞栓術」があります。ただし、どの方法を選択するかは、専門的な高度な判断が必要です。
「開頭手術」による「クリッピング術」
「血管内手術」による「コイル塞栓術」
脳動脈瘤を露出したところ
クリッピング後

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