Vol.41-Vol.60

院外報VOl.42

脳梗塞 《ラクナ梗塞》

脳梗塞には、脳や頸部の太い動脈が詰まるアテローム血栓性脳梗塞と脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞のほか、心臓内の血栓が脳の血管に飛んで詰まる心原性脳塞栓症があります。
高血圧管理が十分でなかった時代は、ラクナ梗塞が脳梗塞の主役でしたが、高血圧管理の普及につれラクナ梗塞は明らかに減少しています。

高血圧全盛時代の第一集団(1961-69年)では79%あったラクナ梗塞も、第三集団(1988-96年)では41%に減少している。(九州久山町の疫学データー:65歳以上の男性)

ラクナ梗塞とは・・・
脳の主幹動脈より無数に分岐する直径数百ミクロンの細い動脈(穿通動脈)が、長年の高血圧負荷により細小動脈硬化という特殊な変化を来し、閉塞したために起こる脳梗塞です。実際には、穿通動脈の分岐部に出来たアテローム硬化病巣や微小血栓の飛来に起因したラクナ梗塞も存在しますが、その頻度は少ないと考えられています。
穿通動脈とラクナ梗塞
(A) 細小動脈硬化
(B) 微小アテローム硬化巣
(C) 微小血栓の飛来

ラクナ梗塞のMRI画像
直径15㎜以下の小梗塞として描出

症状の特徴
どこに脳梗塞が起こるかにより症状は全く異なります。通常、意識は清明であり、純粋な運動麻痺や知覚障害、構音障害などが認められますが、無症状(無症候性ラクナ梗塞)の場合も少なくありません。
無症候性脳梗塞(かくれ梗塞)は、脳ドック受診者のデータでは40歳代:5%、 50歳代:12%、 60歳代:25%、 70歳代:30%と加齢に伴って頻度は増加します。 また、血圧正常群と比べ高血圧群において有意に多く、 その違いは高齢者ほど顕著となります。-無症候性ラクナ梗塞の脳ドックにおける頻度(島根医科大学のデータ)-

side memo
仮性球麻痺とは・・・
左右の大脳に多発性のラクナ梗塞を来すと、発語の障害(構音障害)や、 物を飲み込みずらくなる(嚥下障害)、声のかすれ(嗄声)など仮性球麻痺という状態を招きます。 面白くないのに大笑いする(強迫笑)、悲しくもないのに泣く(強迫泣)など感情面でも障害が起こります。
嚥下訓練でも改善しない場合には、 胃瘻など経管栄養となるため、 食欲が満たされずうつ状態に陥こともあります。

予防と治療のポイント
① 血圧管理が最も重要です。65歳未満では130/85mmHg、65歳以上では140/90mmHg以下が目標値です。
② 禁煙の徹底:1本でもダメです。
③ 水分摂取(1日1リットル程度):脱水はラクナ梗塞の最大の引金です。
④ 抗血小板薬の内服:議論がありますが、血圧管理の上での服用が必要です。

関連コラム

作品ギャラリー

previous arrow
next arrow
Slider