Vol.21-Vol.40

院外報VOl.37

髄膜炎

脳や脊髄は人の体の中で重要な働きを担っている部分です。そのため特に脳は硬い頭蓋骨とその下には何重にも膜が覆い、外部の刺激から守られています。また、脳組織にだけ備わる血液脳関門というフィルタのようなものがあり、血液に入った有害物質から脳を守る機能があります。このような厳重な防御機能があるなかで、脳を取り巻く髄膜と髄液が病原菌に侵され炎症を起こし、風邪の様な症状を呈する髄膜炎を引き起こすことがあります。病原菌により重症度が異なるため、迅速な診断と治療が予後を大きく左右する病気です。

髄膜炎とは…髄膜と髄液の炎症
脳と脊髄を覆っている硬膜、クモ膜、軟膜3つを合わせた部分を髄膜といいます。
クモ膜と軟膜にあるクモ膜下腔という空間に髄液が流れており、髄膜と髄液は脳と脊髄を保護し、振動と圧力から守っています。

原因は…主にウイルスと細菌ごくまれに真菌と寄生虫
小児期や他の病気により病原菌に対する抵抗力が低下している場合に発症しやすいと言われています。
また、細菌性の場合は頭部外傷などで直接頭部から細菌が侵入することにより感染したり、中耳炎、副鼻腔炎、扁桃腺など脳に近い病巣から炎症が波及したり、肺炎、心内膜炎など離れたところから血流により細菌が運ばれ感染することがあります。

主な原因は2種類
<ウイルス性>
髄膜炎の7割以上
症状は軽く短期の入院で完治
<細菌性>
早急な治療が必要で重症化する
とけいれん、意識障害を引き起
こすことがある

症状は…かぜの症状と似ています
髄膜炎の3大症状
発熱 頭痛 嘔吐

髄膜炎特有の症状・項部硬直
仰向けに寝た状態で、検者が後頭部を手ですくうように持ち上げ、胸につけるような体勢にしようとした時に抵抗を感じたり、痛みが出る症状

ちょっとマメ知識
髄液と意外な関係…二日酔いの頭痛二日酔いの頭痛の原因のひとつとして脱水による低髄液圧症候群があります。
大量にアルコールを飲んだ時、肝臓でアルコールを代謝するために髄液が水分として消費され、頭蓋内の圧が低くなることにより頭痛が引き起こされます。
<予防>
①飲み過ぎない
一番効果的な対策方法です☆
②肝臓の代謝を活発にするために炭水化物を取りながらお酒を飲む。
③飲酒後に、ナトリウムを含む飲料水を補給(スポーツドリンクなど)

検査方法は髄液を調べます
検査方法は…髄液を調べます
培養を行い髄液中に病原菌が存在するか直接的に調べるには数日間かかります。
細菌性の髄膜炎の場合、特に早急な治療を要するので、培養結果が出るまで治療を待っていると、
状態が悪化し、生命の危険にさらされる事態になりかねません。
そこで確定診断として有用なのが髄液検査です。
腰部に針を刺して髄液を採取し、白血球数、糖、蛋白を測定することにより、髄液に炎症が起きているかどうか、また病原菌が細菌かウイルスかを知ることができます。

髄液中の糖は血糖値に依存します。
血糖値の40%以下まで減少すると
髄膜炎と診断します。
※ただし白血球数増加を生じないウイルス性髄膜炎もあるので、補助的な診断でMRI・CTを行うこともあります。

治療方法は…薬の治療がメインになります
病原菌にあわせた抗生剤を投与します。
細菌性の場合は培養で突きとめた細菌に有効な抗生剤で治療しますが、培養の結果が出ていない状況で原因菌がはっきりしていない時は、多種類の細菌に効く抗生剤を使用します。
ウイルス性の時はヘルペスウイルスによるものであればそれに効く抗生剤があるのですが、それ以外のウイ泣Xの場合は有効な治療薬がないため、高熱、頭痛などの症状を和らげるための対処療法を行いながら安静にして回復を待ちます。

ワクチン
乳幼児の細菌性髄膜炎予防~インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン~
細菌性髄膜炎の原因菌は年齢によって異なり、乳幼児で
最も多いのがインフルエンザ菌です。
日本でのHib髄膜炎は5歳未満の乳幼児2000人に1人が発症し、患者の5%が死亡、25%に聴覚障害や発達の遅れなどの後遺症が残る深刻な病気です。
Hibワクチンは1980年代後半から先進国で普及し、開発途上国を含めた世界100カ国以上で使われていますが、日本では髄膜炎の実態を把握しておらず、ワクチンの必要性が認識されてこなかったことなどから開発が遅れ、ようやく平成19年1月に承認されました。
実際に使えるのは来年になる見通しで、費用や接種方法など議論される課題は残っていますが、ワクチン導入による効果は大いに期待できることでしょう。

Hib
インフルエンザ菌b型のことで、冬に流行するインフルエンザウイルスとは別のものです。

風邪の治療を数日行っても発熱や頭痛が続く時は髄膜炎を疑って!

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